猫の甲状腺機能亢進症|千代田区の犬と猫の内科の病院「まつき動物病院」

診療科目と症例紹介

猫の甲状腺機能亢進症

中〜高齢の猫の飼い主様に、このようなお話をうかがうことがあります。

「うちの子は年甲斐もなく元気です。よく鳴いてご飯を催促して、若い頃よりも食欲旺盛なんです。でも、歳のせいか体重が軽くなったみたい。」

何でもない話と思われるかもしれません。高齢でも元気よく食欲旺盛なのは嬉しいことですが、落とし穴が隠れているかもしれません。

猫には甲状腺機能亢進症という病気があります。中〜高齢で罹りやすく、8歳以上の猫の3〜5%(20頭〜30頭に1頭)がこの病気をもっています。

甲状腺が腫瘍になり(ほとんどは良性です)、甲状腺ホルモンを出しすぎるのが原因です。

甲状腺ホルモンは新陳代謝を高めますので、このホルモンが多すぎると一見元気で活発そうに見え、食欲も旺盛になります。しかし、行きすぎた新陳代謝のために体が消耗して痩せてきます。

それだけではありません。高血圧になるため、心臓や腎臓に負担がかかり、心不全や腎不全の原因にもなります。肝臓の数値も悪化します。

「食欲があるから大丈夫、痩せてきたのは歳のせい」と思う前に、甲状腺の病気のことを思い出してください。

甲状腺機能亢進症は、甲状腺の触診、血液検査(ホルモン測定)と超音波検査で診断します。当院では、採血から20分ほどで甲状腺ホルモンの数値が出る機械を用意しております。

治療のためには、療法食、飲み薬、手術があり、個々の患者さんに見合った治療法をご提案します。

この病気では、活発になる、食欲旺盛、痩せる以外にも、食欲不振、嘔吐、下痢、元気がない、ひんやりした場所を好む、息が荒いなどの症状が現れることがあります。中〜高齢の猫にこのような症状がありましたら、些細なことでもお気軽にご相談ください

(獣医師 中村)