尿漏れ(失禁)|千代田区の犬と猫の内科の病院「まつき動物病院」

診療科目と症例紹介

尿漏れ(失禁)

今年の東京の夏はいきなり暑くなりました。ワンちゃんたちは水を沢山飲むようになり、尿漏れ(失禁)を起こしやすくなっているかもしれません。

尿漏れ(失禁)の原因は大きく2つに分かれます。膀胱から尿が漏れないようにする尿道括約筋が2種類あるからです。自律神経でコントロールされている内尿道括約筋と、体性神経でコントロールされている外尿道括約筋です。

自律神経は意思ではコントロールできません。腰の背骨(脊椎)やその中を走る神経(脊髄)に異常があると、内尿道括約筋を閉める力が弱くなり、ひっきりなしに尿が漏れます。そのような場合は自律神経を強める薬を使います(写真左)。

体性神経は意思の力でコントロールできます。避妊手術や去勢手術をしたワンちゃんでは、女性ホルモンや男性ホルモンが少なくなるために、意思でコントロールできる外尿道括約筋が薄く弱くなります。意思が及ばない睡眠中に尿が漏れます。これを「ホルモン反応性尿失禁」と呼びます。このような場合はホルモン剤を使い、尿道を閉める筋肉を回復させます。超音波検査で尿道括約筋の厚みを測り、回復の度合いを調べます。

犬に女性ホルモンを与えると回復の難しい貧血になる場合があるため、当院では避妊後の女の子に対しても(比較的安全な)男性ホルモン(写真右)を与えています。効果は女性ホルモンとほとんど変わりません。ほとんどの場合は3週間ほどで効果が出ます。その後は投薬を休み休み続けていきます。

【2019.5.2追記】男性ホルモンの錠剤は製造中止になってしまいました。現在は月に1回背中に注射するタイプの男性ホルモン剤を使用しています。効果は錠剤と同等です。